マンションやビルのオーナー様、管理会社のご担当者様から「エレベーターの法定点検って、毎月の点検とは別なの?」「通知が来たけれど何をすればいいのか分からない」というご相談をよくいただきます。
エレベーターには、建築基準法で年に1回の「定期検査」と、その結果の報告が義務付けられています。毎月や数か月ごとに行う保守点検とは目的も根拠も違うため、混同したままだと報告漏れにつながりかねません。この記事では、法定点検(定期検査)の中身、時期、費用の考え方、やらなかった場合のリスクを順に整理します。
エレベーターの法定点検(定期検査)とは
法定点検と呼ばれているのは、建築基準法第12条第3項にもとづく「定期検査報告」のことです。特定行政庁(大阪市・京都市などの役所)が指定する建築物の所有者・管理者は、昇降機などの建築設備を定期に資格者に検査させ、その結果を特定行政庁へ報告しなければならないと定められています。
建築基準法第8条では、建物の所有者・管理者は建築設備を「常時適法な状態に維持するよう努めなければならない」とされています。定期検査は、その状態が保たれているかを年に1度、決められた項目と基準で確かめて役所に届け出る仕組みです。
検査できるのは資格を持った人だけ
定期検査は誰でも行えるわけではありません。一級建築士、二級建築士、または国土交通大臣の登録を受けた昇降機等検査員が行います。検査結果は所定の様式の報告書にまとめ、特定行政庁に提出します。
ホームエレベーターは報告の対象外
戸建て住宅などで、かごが住戸内だけを昇降するホームエレベーターは、平成28年の制度改正で特定行政庁への報告対象から外れています。ただし摩耗や劣化は使えば必ず進むため、所有者による定期的な点検は引き続き必要です。
毎月の保守点検と法定点検の違い
混同されやすい2つを表にまとめました。
| 項目 | 保守点検 | 法定点検(定期検査) |
|---|---|---|
| 目的 | 故障を防ぎ、安全に使い続けるための点検・調整・給油 | 法令の基準に適合しているかを確認し、役所に報告する |
| 根拠 | 保守契約(建築基準法第8条の維持保全の努力義務) | 建築基準法第12条第3項 |
| 頻度 | 毎月・2か月ごと・3か月ごとなど契約による | 年1回(時期は特定行政庁が指定) |
| 行う人 | 保守会社の技術者 | 一級・二級建築士、昇降機等検査員 |
| 報告先 | オーナー様・管理会社 | 特定行政庁(大阪市・京都市など) |
| 報告しない場合 | 契約上の問題 | 罰則の対象(百万円以下の罰金) |
保守点検は「壊れないようにする」ためのもの、定期検査は「基準に合っていることを証明する」ためのもの、と考えると分かりやすいと思います。どちらか一方だけでは足りません。
法定点検の時期と流れ
報告の時期は特定行政庁ごとに決められています。多くの地域では、エレベーターごとに基準となる月が決まっていて、その前後の期間内に検査と報告を済ませる形です。初めての報告は、新築時の検査済証が交付された直後の年度は免除される扱いが一般的です。正確な時期は、建物のある自治体の案内や、届いている通知で確認してください。
大まかな流れは次のとおりです。
- 特定行政庁や指定確認検査機関から、報告時期の案内が届く
- 保守会社または検査員と日程を調整し、現地で検査を行う
- 検査結果表・報告書を作成し、特定行政庁へ提出する
- 「要是正」の指摘があれば、改善の計画を立てて対応する
検査ではブレーキや主索(ロープ)の状態、ドアの安全装置、非常用の設備などを、国土交通省が定めた項目と判定基準に沿って確認します。主索やブレーキパッドについては、状態の分かる写真の添付も求められています。
費用の考え方と、契約を確認するポイント
法定点検の費用は、保守契約に含まれている場合と、毎年別に請求される場合があります。建物の台数や仕様によっても変わるため、まずは今の契約書と請求書で次の点を確認してみてください。
- 年1回の法定検査(定期検査報告)が保守料に含まれているか
- 報告書の作成と提出の代行まで含まれているか
- 「要是正」と指摘されたときの部品交換・修理がどう扱われるか
- 検査の時期が近づいたときに、保守会社から案内があるか
「毎年なんとなく払っている」という状態だと、同じ内容に二重で費用がかかっていたり、逆に報告書の提出が誰の担当か曖昧になっていたりすることがあります。保守会社を比較するときも、月額だけでなく法定検査の扱いをそろえて見ることが大切です。
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定期報告を怠ったり、虚偽の報告をしたりした場合は、建築基準法第101条により百万円以下の罰金の対象になります。罰則だけでなく、事故が起きたときに検査や報告をしていなかったことが問題になるおそれもあります。
また、定期検査はエレベーターの状態を第三者の目で確かめる機会でもあります。部品の劣化や既存不適格(建てた当時は適法でも、今の基準には合っていない状態)の指摘は、修繕やリニューアルの計画を立てるうえでも役に立ちます。
まとめ
- エレベーターの法定点検は、建築基準法第12条第3項にもとづく年1回の定期検査と報告のこと
- 毎月などの保守点検とは目的・根拠・行う人が違い、どちらも必要
- 検査は一級・二級建築士または昇降機等検査員が行い、特定行政庁へ報告する
- 報告を怠ると百万円以下の罰金の対象になる
- 今の保守契約に法定検査と報告の代行が含まれているかを確認しておく
株式会社DATTOは、大阪・京都を拠点に関西全域(大阪・京都・滋賀・兵庫・奈良・和歌山)でエレベーターの保守・点検・リニューアルを行う独立系の保守会社です。DATTOの点検プランは、どのプランも年1回の法定検査(定期検査報告)を含んでいます。「今の契約に法定検査が入っているか分からない」「報告の時期を把握できていない」といったご相談も、お問い合わせフォーム・LINE・お電話(06-7175-4114)からお気軽にどうぞ。